君のいる世界
「そうなんだ。これから毎日電車?」
「…わかんない。多分、止められると思う」
今日はいつもより早く目が覚めた。
…というよりも一睡も出来なかったんだ。
康君と会いたくなくて、黙って早めに家を出て電車で来ちゃったけど…
さっきからポケットの中の携帯が引っ切り無しに震えてる。
…相手はわかってる。
だから、出れない。
「…そっか、残念だな。毎朝麗奈と一緒に通学出来るかもって思ったけど。…今日電車で来たのは、柳田さんと喧嘩して顔合わせ辛いからでしょ?噂のことで何かあったんじゃない?」
「っ!!なんでわかるの?」
佳菜子の的を射た言葉に驚きを隠せなかった。
「ふふ。わかるよ。今日の麗奈、少し元気ないもの。何があったのかわからないけど、いつでも相談してよね」
佳菜子はそれ以上何も聞いてこなかった。
私が話すのを待ってくれているんだと思う。
改めて佳菜子の優しさが身に沁みる。