君のいる世界




「な、な、な……っ」



スカートの裾を抑えながら金魚のように全身を赤く染め口をパクパクと動かす。



「っぷ!!あはははは!!冗談だって。…本っ当飽きねぇな」



「〜〜〜…っ」



ひ、ひど過ぎる…!


前言てっかぁーい!!!!






それから私達は裏道を使って駅までの道のりを歩いた。



「ねえ、何処行くの?」



会長は私に行き先が見えないように背中で操作画面を隠しながら切符を買っている。


隠されると見たくなるのが人間の性分。


私は大きい背中の脇から覗き見を試みるも、会長に阻まれ失敗に終わった。



「いいから。とりあえず黙ってついて来いよ」



私は行き先が気になったものの、二人で何処かに行ける事が嬉しくてそれ以上何も聞かなかった。




電車は心地よく揺れながら下り方面に進んで行く。


私達が乗った車両は人がまばらで椅子に悠々と座れた。


時折車両が揺れてぶつかり合う肩に、私の全神経が集中して身体が強張ってしまう。




だけど、心は意外と穏やかだった。


あんまり会話がなくても、なんでもないこの時間が凄く幸せだなって思う。


こんな風に感じたのは何年振りかな…




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