君のいる世界
「ホント!?」
「ああ、もしやる気あれば連絡してって。これ店の番号」
朱美さんから預かったメモを渡すと、琴音は「早速明日電話しよ!」と嬉しそうに笑った。
「朱美さんにお礼言うんだぞ」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん。それと…」
俺はドアを開く手を止め振り返った。
「何だよ?」
「春音見てニヤけすぎ」
「…っ!!うるせ…」
琴音がニヤリと口の端を上げてるのを見ない振りして、俺は部屋を出た。
着替えを済ませリビングに戻ると、テーブルには白い湯気が立つカレーライスと冷えたお茶が用意されていた。
「ほら、大和。ママが絵本読んであげるから上行こ」
「やぁだー!まだお兄ちゃんと遊んでないもん」
大和はそう言って母さんから逃げるようにテーブルの周りを走り回っている。
「大和。兄ちゃん、今日遅くなってごめんな?明日早く帰って来れるから、公園行ってキャッチボールしよう」
俺は大和を捕まえて、目線に合わせるようにしゃがみ両肩を掴みながら言った。