君のいる世界
あ、あれ…?何も起きない…?
絶対絶滅のピンチに振ってきたのは、予想していた会長の唇…
ではなく、クックと堪えるような笑い声。
それと同時に身体が自由になり目を開けると、会長がお腹を抱えて笑っていた。
な、何……?どういうこと?
「されると思った?キス」
笑いを堪えながら言う会長を見て、ハッとした。
「…っ、からかったわね!?」
恥ずかしさと怒りでわなわなと身体が震える。
「お前にするわけねぇだろ」
さっきまで笑っていた会長は、急に真顔になり冷たく鋭い目で睨みつけてくる。
視線が交わった瞬間、背筋がゾッと寒くなり金縛りにあったかのように身体が固まった。
「…さ…いてい…」
「は?」
ふつふつと込み上げてくる怒りで、身体が奥底から震えてくる。
「あんたなんて…大っ嫌い!!」
私はそう叫ぶと会長を思いっきり睨み、そのまま生徒会室を飛び出した。
悔しい…
悔しくて、涙が止まらない…
あんなやつのこと一瞬でも羨ましいとか、寝顔にドキッとした自分が腹立たしい。
最低…
あんなやつ…ゴミ屑以下よ!
でも、あの腕を振りほどかなかった私はもっともっと…
最低だ…