君のいる世界
「…っ、トミ…さん」
トミさんはしゃがんで私を包み込むように抱き締めてくれた。
背中を摩る柔らかい手、私より狭い肩幅。
その小さい身体から伝わる大きな安心感が私の心に染みる。
私が落ち着くまでトミさんはずっとそうして側にいてくれた。
「はい、ホットココア」
トミさんがテーブルに置いたマグカップから白い湯気がゆらゆらと上がる。
別に添えてあったマシュマロをココアに浮かべて、両手で包み込むようにマグカップを持ちそっと口に運んだ。
口内にココアのほんのり苦くて甘い味と、身体中にほっとするような暖かさが一瞬で広がる。
「心配したのよ?朝、何も言わないでいなくなるから」
「…ごめんなさい」
「康介君と喧嘩でもした?」
トミさんはベッドの端に座る私の隣りに腰を下ろした。