君のいる世界
あの男の娘じゃ…
いつもと変わらない騒がしい駅前。
会社に急いで戻るサラリーマンや友達と楽しそうに笑う学生達。
変わるとすれば、私が車の中から見ているのではなく自分の足でこの煌びやかな街を歩いているということ。
毎日車の窓から眺めてた。
いつか私もこの狭くて息苦しい箱から飛び出して自由になりたい、と。
まだ自由ではないけれど、心はいつになく踊っている。
制服姿のまま仲睦まじく手を繋いで歩くカップル。
歩道の柵に寄りかかってクリームや果物が入ったクレープを頬張る女子高生達。
カラオケ屋からは自動ドアが開く度に、おそらく今流行りのアイドルであろう、明るいポップな音楽が聞こえてくる。
他にもゲームセンターでUFOキャッチャーを楽しむ大学生、中にはプリクラ機の前で撮った写真を切り分けている小学生の姿もある。
まだまだ私の知らない事が山程ある世界。