君のいる世界
Period*4
あなたなんかに渡さない
残暑厳しい9月。
今日から新学期が始まる。
車はいつものように学園前に停車し、運転席に座る康君にお礼を言って車から降りた。
外に出ると太陽の日差しが容赦無く肌をジリジリと照りつけ、暑さのあまり頭がくらっとする。
車から降りた康君は、暑さにも負けず爽やかな笑みで送り出してくれた。
校門を潜るといつも通り、大勢の生徒が私の周りを取り囲むように集まってきた。
でも今日はいつもより人数が多い気がする…
そして何よりも皆が色めき立っているような、変な違和感を覚えた。
すると彼方此方から興奮したような声が一斉に飛び交い始める。
「麗奈さん!小出財閥の御曹司とお見合いしたって本当ですか?」
「ご婚約、おめでとうございます!本当にお似合いですわ」
それは耳を疑う内容だった。