君のいる世界
「私は谷本麗奈と友達になりたいの。谷本財閥とか社長令嬢とかそんなの私には関係ない」
どうして私はこの人を信じれなかったんだろう。
彼女の瞳と言葉には、偽りなんてこれっぽっちも感じない。
こんなにも純粋で真っ直ぐな心を持った人、今まで出会ったことがない。
一人の人間として見てほしいなんて言っておきながら、どうせこの人も他と同じだって最初から決めつけて逃げてたのは私。
向き合おうとしなかったのは、私…
信じてみよう。
彼女の言葉と瞳を、信じてみたい。
「ありがとう…山下さん」
さっきまでポツンと一つだけ浮かんでいた雲には、いつの間にかもう一つの雲が重なっていた。
まるで手を繋いで笑い合ってる親友同士のように…