君のいる世界
屋上に出ると、相変わらず厳しい日差しが私達に降り注ぐ。
私達は日陰に移動して壁に寄りかかった。
「ビックリしたよ。登校したらお見合いの噂で学園中が盛り上がってるんだもん」
「話さなくてごめんね…なかなか言い出せなくて」
私はお見合いに至った経緯を話した。
お見合いの後、直幸さんに誘われて二回食事をした。
他愛ない話をして、22時にはちゃんと車で家まで送ってくれた。
その時間は本当に楽しくて、少しだけ別れが寂しいとさえ思った。
「とても良い人だった。私、真剣に考えてみようと思うの」
「…そう。麗奈が決めたことなら応援する。だけど、これだけは約束して?絶対に自分の気持ちに嘘は付かないこと」
佳菜子は私に向かって小指を立てる。
「約束する」と、私は自分の小指を佳菜子の小指に絡ませた。