君のいる世界
「麗奈ちゃん。お誕生日おめでとう」
直幸さんは抱えていた花束を私に差し出した。
私はお礼を言って、花束を受け取り薔薇の香りを嗅いだ。
「とても良い香り…」
一瞬で心が洗われたような、そんな感じがした。
「似合ってるよ。そのドレス」
そう言うと、直幸さんは私に近付き耳元に顔を寄せてくる。
「…誰よりも、綺麗だ」
耳元に熱い吐息が掛かって細胞が震える。
頬と耳、首筋までもが一気に赤くなっていくのがわかる。
直幸さんは「谷本社長に挨拶してくる」といって、私に背を向けて歩いて行った。
髪の隙間から出てる耳が赤くなってる。
彼も私と同じく、照れてるんだ。
そう思ったら可愛くて自然と笑みが零れた。