君のいる世界




パーティーは中盤に差し掛かった。


私は少し休憩する為に、ルーフバルコニーに出る。




9月下旬にもなると流石に空気は冷えてきて肌寒い。


肩と腕が出てるドレスを着ているから尚更…




私は自分の手で腕を摩り、ルーフバルコニーの柵に肘をついた。


会場は二階で、バルコニーから見えるのは芝生が敷き詰められたホテル自慢の庭。


花壇には季節の花や木が植えられ、噴水が水飛沫を上げている。





「…17歳になったよ…お母さん…」



私は毎年、誕生日を迎えると夜空に向かってお母さんに話し掛ける。


答えてはくれないけれど、同じ空の下にいると思うと繋がっている気がするんだ。




すると突然、ふわっと温かい何かに覆われた。


肩を見ると、大きなスーツの上着が掛けられている。




「そんな格好で、風邪引くよ」



「直幸さん…ありがとう」



直幸さんは私の隣りで同じように柵に肘をつき夜空を見上げる。




< 278 / 497 >

この作品をシェア

pagetop