君のいる世界
パーティーは中盤に差し掛かった。
私は少し休憩する為に、ルーフバルコニーに出る。
9月下旬にもなると流石に空気は冷えてきて肌寒い。
肩と腕が出てるドレスを着ているから尚更…
私は自分の手で腕を摩り、ルーフバルコニーの柵に肘をついた。
会場は二階で、バルコニーから見えるのは芝生が敷き詰められたホテル自慢の庭。
花壇には季節の花や木が植えられ、噴水が水飛沫を上げている。
「…17歳になったよ…お母さん…」
私は毎年、誕生日を迎えると夜空に向かってお母さんに話し掛ける。
答えてはくれないけれど、同じ空の下にいると思うと繋がっている気がするんだ。
すると突然、ふわっと温かい何かに覆われた。
肩を見ると、大きなスーツの上着が掛けられている。
「そんな格好で、風邪引くよ」
「直幸さん…ありがとう」
直幸さんは私の隣りで同じように柵に肘をつき夜空を見上げる。