君のいる世界
「ここ」
会長は自分の足の間をトントンと叩く。
そこに座れってこと…?
その態勢を想像するだけでも心臓が破裂しそうなぐらい鼓動する。
「あ…私は、隣りに…「「いいから」」
会長は手首をグイッと引っ張って、自分の足の間に私を座らせた。
そして私が着ていた会長の上着を半ば強引に脱がせると、そのまま後ろから首に腕を回し私を抱き締める。
会長は露わになった私の肩と首筋に口付けを落とす。
「あ……」
その瞬間、全身が甘く疼き思わず身を攀じった。
「やっと…触れた」
会長の掠れた色っぽい声が私の鼓膜を震わせる。
背中に当たる会長の胸からは、心臓の激しい鼓動が伝わってくる。
「会長はどうしてあそこに?」
「…山下から聞いた。今日、あそこで誕生パーティーがあるって」
会長は私を抱き締めたままホテルに着くまでの事を話し始めた。