君のいる世界




放課後になると、俺は生徒会室には行かずすぐに帰ることにした。


とりあえず学園から早く出たかった。




だけど、最近の俺はやっぱりどうかしてる。


生徒会室に通学定期券を忘れたことを、学園の最寄り駅に着いてから気付いた。


俺は深いため息をつき、来た道を戻る。


その間も、すれ違う同じ学園の生徒の大半は例の噂を口にしていた。




学園に着いた頃には、殆どの生徒は下校し校舎は静まり返っていた。


ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、俺の心臓の鼓動は最高潮に達した。




それもそのはず、生徒会室には噂の人物……




谷本麗奈の姿があった。




谷本麗奈は俺が入って来たのにも気付かず、俺がいつも座ってる位置に座っている。


俺は煩い心臓を鎮めるように深く深呼吸し、扉に寄り掛かって平然な振りをする。



「何してんの…?」





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