君のいる世界
お母さんと暮らしたい
真っ暗な生徒会室に月の光が差し込んで私達を照らす。
二人の影は、今まで開いていた距離を埋めるようにピッタリとくっついて一つになっている。
会長は後ろから私の腰を抱いたまま、お見合いの日に私と直幸さんを見た事と今日ホテルに来る前に佳菜子と話した事を教えてくれた。
「店長は俺と山下の話を店の窓を開けて聞いてたんだろうな。だからタイミングよく鍵を渡してくれた」
そう言って苦笑いを浮かべるも、嬉しそうな声をしている。
「山下にも後で礼を言わないとな。山下が教えてくれなかったら、俺は素直になれなかった」
「そうだね。でも私はあの時会長がホテルに来なかったとしても、直幸さんには断るつもりだったよ……彼を好きになろうとしても、やっぱり無理だった。会長を忘れようとすればするほど、どんどん好きが大きくなってた」
すると会長は抱き締める腕を強め、私の耳元に唇を寄せる。
そしてわざと息を吹きかけるようにして艶かしい声で囁いた。