君のいる世界
別に添えてあるマシュマロを、白い湯気が上がるココアに浮かべた。
表面から溶けていくマシュマロは儚くて脆い。
「私、初めて友達が出来たの。とても綺麗な人でね。こんなに学園生活が楽しくなるなんて思ってもいなかった」
「そう。さぞかし素敵なお嬢さんなのでしょうね。私もお会いしてみたいわ」
「うん!トミさんにも紹介したい。今度、うちに招待するね」
「それじゃあ、またケーキ焼こうかしら」
トミさんはパチンっと両手を合わせて嬉しそうに微笑んだ。
「まだ何かあるんでしょう?顔に出てるわよ?」
「…うん。あのね」
私は持っていたフォークを置いて、マグカップを包むように持つ。
「もしもの話なんだけど。もしも自分の事を嫌いな人がいるとして、嫌われてる理由がわからない場合トミさんならどうする?」
「そうねぇ、私だったら直接理由を聞くわ。自分じゃいくら考えてもわからないなら対処しようがないもの」
トミさんはスプーンでくるくるココアをかき混ぜた。