君のいる世界
12月中旬。
今日は大輝のお父さんの誕生日。
ちょうど日曜日で学園が休みだったため、二人でお墓参りに来ていた。
約半年振りの大輝の思い出の街。
この街にこうして二人でまた来れた事を嬉しく思う。
私達は以前と同じように駅の近くでお供え用の花と線香を買い霊園に向かう。
この街に来る前に、誕生日プレゼントとしてお父さんが好きだった青色のマフラーを二人で選んだ。
霊園に着くと、桶に水を組んで石段を登る。
この前来た時は夕方だったけど、昼過ぎにここから見る眺めも素敵だった。
煌めく海と色鮮やかな屋根が並ぶ住宅街。
地平線際には大型船の影が見え、冬なのにサーフィンを楽しむ人も見受けられる。
私はまだ二回しか来ていないのに、この街が好きになった。
海も空気も街も綺麗だし、会う人会う人優しくて心が癒される。
いつかここで大輝と暮らせたらいいな。
なんて、恥ずかしくて私からは言えそうにないけど。