君のいる世界
ありがとな
次の日の放課後。
私は生徒会室の扉を、腕を組みながら穴が開きそうなぐらい見ていた。
「う〜ん…」
会長がここにいるのはクラスの人に聞いて確認済。
だけど、なかなか扉を開く勇気が出ない。
誠意を持って、だなんて出来るかな…
会長の前だといつも調子が狂う。
“その人のこと気になるの?”
違う、そんなんじゃない。
トミさんの言葉が過り、私は消し去るように頭を左右に振った。
「…何してんの?」
呆れたような会長の声に、私はピタッと動きを止めて顔を上げた。
いつの間にか生徒会室から出て来て、閉めた扉に寄り掛かり、私を軽蔑したような眼差しで見下ろしてくる。
「あ…べ、別に…」
別にじゃなくて、勇気を出して聞かなきゃ!誠意を持ってって決めたじゃない!
もう一人の私が耳元でそう囁く。