君のいる世界




夕方。



「麗奈、今日はありがとね」



「ううん。また人が足りなかったら言ってね。いつでも助けに来るから」



私はお母さんとそんなやり取りをして店を出た。




商店街は昼間とはガラッと姿を変え、クリスマスのイルミネーションで賑わっている。


ケーキ屋の前を通ると、外に机を出してサンタとトナカイの格好をした従業員がクリスマスケーキの予約、販売をしていた。




「お嬢さん!クリスマスケーキの予約はもう済ませましたか?」



「え…私?いや、まだ…」



「これが最後のチャンスですよ?恋人や家族と食べるのに一つ如何ですか?」



トナカイの男性店員がそう言ってメニュー表を持って近付いて来た。


そのメニュー表にはサンタやお菓子の家のメレンゲドールが載ったチョコレートケーキやロールケーキなど、多数の写真が掲載されている。




「わあ!可愛い!!」



クリスマスは大輝と過ごせないならお母さんと二人でケーキ食べるのもいいかもしれないな。




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