君のいる世界
ふと、ある女の子が目に入った。
数人の男に囲まれ、腕を引っ張られて何処かへ連れて行かれてるようだった。
彼女は拒んではないものの、足取りは重く表情が険しい…
確かこの先は、ホテル街。
「康君、車止めて!」
「え!?…かしこまりました」
康君は驚きつつも車を停車させた。
私は急いで車を降りて女の子の元へ走る。
「やっぱり…」
男達は女の子の腕をしっかりと掴んだまま、ホテル街へ続く裏路に入った。
「ちょっと待ちなさいよ!」
私は最大限にドスのきいた声で男達を呼び止めた。
金髪の坊主頭のガタイの良い男、鼻にピアスをして髭を整えた男、金色のアクセサリーをジャラジャラ付けた男…
ドラマに出てくるようなヤクザっぽい男達が、顔を顰めながら私を取り囲むように前を塞ぎ脅迫的に睨み付けてくる。
「…ああ゛!?誰だ?お前」