君のいる世界
部屋に戻っても涙が止まることはなかった。
夜が明けたら全ての感情を捨てるから…
もう泣かないから…
今だけは大輝を想って泣いてもいいですか…?
気が付くと外はやや明るくなり、鳥が囀りながら空を優雅に飛んでいた。
時計を見ると、時刻は5時。
私、泣き疲れて寝ちゃったんだ…
瞼が腫れぼったくて、目を開けているのも億劫になる。
もう学園が冬休みに入っていて良かった。
こんな顔じゃ外に出られないし、大輝に会わなくてすむ。
佳菜子にも、こんなこと話せないから嘘を付かなきゃいけないんだ。
私はもう一度布団に包まり、目を閉じた。
朝なんて来なければいいのに…永遠に。
だけど、無情にも朝は来る。
私は重たい身体を起こして鏡を見た。
「酷い顔…」
でも、もうどんな顔でも関係ない。
私はたった今から谷本家のロボットとして生きていく。