君のいる世界
「本条さん。先程お話し致しました孫の麗奈です」
「まあ!本当にお美しいお嬢様ですわ」
本条さんというご婦人は、口元に手を当てて上品に笑った。
隣りに座る男の子は眉間に皺を寄せて怒りのオーラを纏っている。
「麗奈。こちらは本条グループ社長婦人の本条楓さん、お隣りはご長男の恵介さんです」
「初めまして。谷本麗奈と申します」
「恵介さんは麗奈の学園の中等部に在籍していて、来春には高等部に進学されるそうですよ」
中等部って…
同い年ぐらいかと思ったけど、まだ中学生なの!?
外見も雰囲気も大人っぽくて、全然年下に見えない。
「お二人には時期が来たら結婚して頂きます」
「……え!!?結婚ですか?ですがお祖母様、恵介さんはまだ中学生と仰いましたよね?結婚なんて…」
「だから時期が来たらと言っているでしょう。三年後、恵介さんの18歳の誕生日に籍を入れて頂く予定です」
祖母はそう言って上品にお茶を啜っている。
ご婦人は「ほほほ」とさっきと同じように口元を隠しながら笑っているだけ。