君のいる世界
風で微かに揺れるブランコに座り、昔を思い出して漕いでみる。
ギコギコと軋む音を立てながら、どんどんスピードに乗り高さを増していく。
空を見上げながら漕ぐブランコは爽快だった。
空に羽ばたく鳥のように、自由に飛べてる気がして…
漕ぐのをやめると、ブランコは徐々に勢いを無くしていく。
やがて地面に足が着くと、公園の入り口に今一番会いたくなくて、でも一番会いたい人の姿があった。
「…大輝」
「やっと会えた。お前、携帯は急に繋がらなくなるし家に行っても門前払いだし」
胸がキュッと締め付けられて苦しい。
心配して家まで来てくれてたんだ…
初めて知った事実に嬉しく思う自分がいる。
感情を捨てるって決めたのに、いざ大輝に会うと決心が揺らいでしまう。
だけど、それじゃいけない。
鬼にならなきゃ…
大事な物を守る為に。