君のいる世界
「携帯変えたの。迷惑メールとか多くて」
「じゃあ教えろよな。心配すんだろ?」
「ごめん。もう教えられないや」
「は?どうしてだよ?」
大輝は意味がわからないと言わんばかりに怪訝な表情を浮かべた。
ドクンドクンと心臓が鈍い音を鳴らす。
言わないと…
目を見て、毅然とした態度で。
「…もう連絡してほしくないの。遊びはお終い」
「…遊び?」
私は大輝が片眉をピクリと上げたのを見逃さなかった。
声が一段と低くなった大輝に怯んでしまいそうになるのをグッと堪える。
「恋人ごっこなんて飽きちゃった。遊びなのに、母親が会いたがってるから遊びに来いだなんて重いし。もともと小さい子も貧乏も好きじゃないの」
大輝の眉間に深い皺が刻まれている。
鋭い目が私の心に突き刺さって痛い。
「学園生活が退屈だったから学園一秀才でモテモテの生徒会長で遊んでみようと思っただけ」