君のいる世界
「相変わらず大変ね」
昇降口で靴を履き替えていると、佳菜子が苦笑いを浮かべながら歩み寄って来た。
「朝からホント暇だよね…」
私は佳菜子から咄嗟に目を逸らした。
今、佳菜子の目を見たら弱い自分が出て来そうで怖かった。
佳菜子とは携帯を変えてから一度も連絡を取っていない。
祖母があまり友達の存在を良いように思ってないため、あまり親しくすると佳菜子にも何か被害が出そうだし。
それに連絡をしてしまったら最後…
佳菜子の暖かさに泣いてしまいそうだったから…
当然、番号もアドレスも教えてないから佳菜子から連絡が来るわけもない。
佳菜子は私と連絡が取れないことを不審に思ってるはず…
私の様子が少しでもおかしいとすぐに気付いてくれる佳菜子だもん。
でも、すぐに何も聞かないのは彼女の優しさ。