君のいる世界
「彼女のこと知ってるの?」
「一年の時に同じクラスだったよ。今は確か、三組だったかな」
佳菜子はそう言いながら写真を私に差し出した。
「そうなんだ。実は今日の帰りに彼女とぶつかっちゃって、その時に手帳落としたみたいなの。明日返そうと思って……ってあれ?この隣の男の子って…恵介さん?」
受け取った写真には、この手帳の持ち主の神崎里緒奈さんと寄り添うように本条グループ長男の恵介さんが写っていた。
二人は本当に幸せそうに、花のような笑みを浮かべている。
「恵介さんって?」
「お祖母様が連れて来た婚約者の…」
「ああ、本条グループの」
ふと神崎さんとぶつかった時のことを思い出した。
確かあの時、私を見て驚いた後悲しそうな顔してたよね…
二人は付き合ってるの…?
そうだとしたら私を見た時のあの反応も頷ける。