君のいる世界
俺が麗奈を守る、絶対に
翌日。
いつもの時間より早めに起きた私は、気合を入れるように鏡の前で両頬をパチンッと叩いた。
髪はきっちりと整えて、制服はビシッと着て、覚悟はしっかりと出来ている。
「頑張れ、私」
鏡の中の私の顔は、昨日よりも血色が良くて生き生きとして見えた。
学園に着くと中等部の制服を着た恵介さんが校門に寄り掛かるように立っていて、その前を通る高等部の生徒が彼に好奇な眼差しを向けていた。
中等部の制服を着ていなければ、とてもじゃないけど中学生には見えないほどの大人っぽい雰囲気と怒気を含んだオーラを纏っている。
あの彼が写真のような笑顔をするなんてなかなか想像が出来ない。
それ程、恵介さんにとって神崎さんは大事な人なんだと思う。
すると、私に気付いた恵介さんは脇目も振らずにこっちに早足で近付いて来た。
え…私を待ってたの??
周りを見渡しても神崎さんの姿はない。
てっきり彼女を待っているんだと思ってたけど…
彼の瞳は一瞬たりとも私から逸らさない。