君のいる世界
「谷本…ありがとな」
「…え?」
「妹、助けてくれて」
会長は頬を赤く染め、照れてるのを誤魔化すように髪を搔き乱す。
胸がギュッと締め付けられる。
それは痛いけど、苦痛ではなかった。
私は胸の鼓動を落ち着かせるように手を胸に当てた。
「良かった…不安だったの。琴音ちゃんに言われた通り余計なお世話だったかなって。私が止めた事で琴音ちゃんがもっと追い込まれたりしたらどうしようって」
放課後といい、今といい、今日の私はやっぱり何処かおかしい。
自分の不安な胸の内を、まさかあの会長に話すなんて…
「余計なお世話なんかじゃねぇよ。琴音もちゃんとわかってる。感謝してると思うぜ」
おかしいのは私だけじゃない。
会長もいつもと全然違う。
優しくて、色っぽくて、
可愛くて、かっこ良くて。
私の心を掴んで離さない。
この気持ちは、何?