君のいる世界
「もぅ…いや…こんなとこ…消えたい…誰も信じれない…」
私にこの学園は合わない。
私の居場所はここじゃない…
誰か…私をここから連れ出して…
すると突然、背後から会長に抱き締められた。
「……っ!!…か、いちょう…?」
会長は私の右肩に顎を乗せた。
頬に当たる髪が擽ったい。
窓に映る会長の表情がとても優しくて…
頬に一筋の涙が伝った。
「…っ、会長は…あの噂…信じ…る…?」
今一番気になってることを、声を詰まらせながら聞いた。
この少しの間が怖い。
窓に映る会長を直視出来なくて目を伏せた。
ここで会長に突き放されたら私…
私の涙が会長の制服の袖を濡らしていく。
私は会長の腕をギュッと握った。
同時に私を抱きしめる腕の力が強くなる。
私達の距離がぐっと近くなり、背中に感じる会長の温もりがより一層深まった。
「俺は…自分が見たものを信じる」
会長の掠れた声が鼓膜を震わせる。
一気に鼓動が走りだして、胸が苦しい…