君のいる世界




「もぅ…いや…こんなとこ…消えたい…誰も信じれない…」



私にこの学園は合わない。


私の居場所はここじゃない…


誰か…私をここから連れ出して…




すると突然、背後から会長に抱き締められた。



「……っ!!…か、いちょう…?」



会長は私の右肩に顎を乗せた。


頬に当たる髪が擽ったい。




窓に映る会長の表情がとても優しくて…


頬に一筋の涙が伝った。




「…っ、会長は…あの噂…信じ…る…?」



今一番気になってることを、声を詰まらせながら聞いた。


この少しの間が怖い。


窓に映る会長を直視出来なくて目を伏せた。


ここで会長に突き放されたら私…


私の涙が会長の制服の袖を濡らしていく。




私は会長の腕をギュッと握った。


同時に私を抱きしめる腕の力が強くなる。


私達の距離がぐっと近くなり、背中に感じる会長の温もりがより一層深まった。




「俺は…自分が見たものを信じる」



会長の掠れた声が鼓膜を震わせる。


一気に鼓動が走りだして、胸が苦しい…




< 94 / 497 >

この作品をシェア

pagetop