君のいる世界




「跡、綺麗に残ったな」



会長は私の下ろしていた髪をまとめて左肩に流した。


露わになった右側のうなじには新鮮な空気があたりスースーする。



「…っひゃ!!か、会長…」



会長はその赤い印に唇を寄せ、啄ばむようなキスを落とした。


身体に電流が走ったような感覚に襲われる。


会長の唇が私の肌に微かに触れたまま、ゆっくりと耳元へ移動していく。


ぞくりと背筋が疼き、身体をよじった。


唇が触れた部分が異様に熱い。




「…麗奈、こっち向けよ」



艶っぽい低い声と耳にかかる会長の吐息に脳が痺れて何も考えられなくなる。




こんな時に名前で呼ぶなんて…ずるいよ…


私は首に回った会長の腕を更に強く握った。




「…恥ずかしい、から…む、向けない。こんな顔、見せれない…」



私は顔を左右に軽く振った。


さっきあんなに泣いたから、きっと目は腫れてるし、顔は林檎のように真っ赤。


それに今、こんな間近で見つめられたらどうにかなってしまいそう…




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