君のいる世界
「ふっ、顔真っ赤」
「か、会長こそ…!」
頬も耳も、首筋までもが火照って熱い。
柔らかい会長の笑顔が私の心を暖かく包み込む。
次第に早鐘を打っていた心臓は落ち着きを取り戻し、トクントクンと心地良い音を鳴らし始めた。
会長は私から身体を離し、私の髪をボサボサにした。
「きゃあ!!何すんのよ!」
「はは。すげぇーボサボサ」
「会長のせいでしょ!!」
自然と笑みが零れる。
さっきまでの沈んだ心が嘘みたいだった。
「お前はそうやって笑ってろ」
そう言うと、会長は左手をポケットに入れて右手で自分の頭をくしゃくしゃっと掻いた。
徐々に赤くなる頬。
照れた会長が可愛くてつい意地悪したくなる。
「ぷっ。会長、照れてる?可愛いー!!」
「うっせぇ…あー、言わなきゃ良かった…」
拗ねたように目を逸らした会長の口元が笑っていて、それもまた微笑ましかった。
もし会長が来てくれなかったら、今頃どん底まで落ち込んでいたかもしれない。
会長のお陰でこうやって笑うことが出来た。
少し強引だった気もするけど…
会長の不器用だけど大きくて暖かい優しさ、伝わってきたよ?
恥ずかしくて直接言えないけど、
“ありがとね”
背を向けた会長の背中にそっと囁いた。