† of Ogre~鬼の心理
冗談を交えつつ、真輝の肩に腕を回す。

思った。口に出す。

「真輝、お前低いな」

「うるさい。アナタがでかいのよ、女のくせに」

「ほっとけ」

ぎこちなく歩いて家に着くと、真輝は荷物持ちをさせていた少年に向き直った。

「フジオカ、ちょうどいいから上がっていきなさい」

「え、でも」

「おいおい」

と、同時に違う意味合いで反応した俺達に、しかし真輝は、はなっから発言を許すつもりはなかったらしい。

「アナタ、さっきの質問をコイツにするといい。さっき言った詳しいヤツって、コイツだから」

「そうなんだ」

少年の目が、初めて興味から俺へ向けられたが――その色は、実につまらなさそうだった。

なにをこのガキに話せばいいのかわからないが、あまりいい目をしているとは思えない。

(フジオカ……聞いたことのある名前だな)

結局フジオカ少年は家の中に引き込まれ、俺も面倒に付き合わされることになった。
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