† of Ogre~鬼の心理




真輝は、怪我の手当てが上手い。

俺の腕を消毒してあっという間に縫いつけ、足の骨を上手く接いだ。

応急処置以上、専門医学以下といったところか。

     バラ
「さすがに殺すことに長けているだけあって、人体のなんちゃらはほどほどお手のものか」

「お望みなら、一生ものの傷をプレゼントしてもいいわよ?」

「おー、怖や怖や」

捻挫していたと思われる足は、安静にしていなければならないだろうが、もう痛くはない。真輝はいい骨接ぎ師になれるだろう。

この家は洋風だ。だから自然、客をもてなすのも洋風になる。

リビングのソファー、その中央のグラステーブルには、三人分のコーヒーが置かれた。

俺が入れたものでも、真輝が入れたものでもない。

フジオカ少年が入れたのだ。

ワイシャツにジーンズと、いつものスタイルに戻った俺、鞄を部屋に置いて、俺の血で汚れた服を着替えてきた真輝、初めて入る家にも縮こまった様子がないフジオカ少年とで向き合い、会談が成立する。
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