† of Ogre~鬼の心理
客人らしき対応をされていない客人は、こちらの失礼など露ほども気にせず、

「さ。さっきの聞いてみたら?」

真輝に促されて、口を開いた。

しかも唐突に。

「あの、生きてるって、どういうことですか」

「……」

なんだ、それは。

あまりに不躾な質問にやや当惑させられ、こんなガキを連れてきてなんのつもりかと、真輝を見やる。

が、肝心のお嬢さまは同じ場にいながら、無関係を装ってコーヒーを啜っている。

おのれ、お得意の孤立無縁領域(ヒキコモリ)か。

(まったくもって、そんなことの専門家になった記憶はないんだが)

俺の基本理念はギブアンドテイク。真輝にはたしかに、怪我を手当てしてもらったし、フジオカ少年からは質問して『もらって』いる。

とりあえず、会話する。

「真輝はなんと答えた?」

「自分の周囲で時間経過しているなら、それは生きていることだって」

「ふむ……」

真輝は、もう少し尾びれ胸びれをつけていただろう。

ずいぶん少年なりに簡略化された言葉だが、お嬢さまの答えにしてはなかなかだ。及第点をやろう。
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