† of Ogre~鬼の心理
問いかけに真輝はどうにかこうにかうなずき、フジオカは無表情の中に納得を右往左往させながら、うなずくとも傾げるとも言えない角度と方向に首を倒した。

そしてはたと、なにかに気付いたように、フジオカは立ち上がる。

「僕、帰ります」

「そう」か」

俺と真輝の声が重なり、フジオカは脇に置いていた鞄を手にした。

「どうもお邪魔しました。お話、ありがとうございます」

「いや。俺も楽しかった」

儀礼的に会釈したフジオカが、ほんの一瞬真輝を一瞥してから、リビングを出ていく。

「見送らないのか?」

しかし真輝には、

「なぜ」

まったくその気はないらしい。

そうして、

「あのな真輝、それならひとつ忠告しておいてやるが」

「なによ」

玄関の閉まる音が、

「アイツには、」

がちゃんと、

「関わらないほうがいいぞ」

静かに響いたのだった。
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