† of Ogre~鬼の心理

第十七節

† 第十七節



仁もアルもコーヒーを入れるのが上手なのだが……風間のはそれに劣らない味だった。

深みはないが、奥行きがあったのだ。

風間が帰ってから、私は空になったカップに目を落としたまま、訊いた。

「で、どうだったの?」

主語を省略したこれに、食事をするテーブル席についている仁は、察して答えてくる。

「あー、俺の嫌いなヤツだった」
      カン カ
それは、仁が干戈を交えた、例のヤツのこと。

位置的に、私は彼女の背中を見る。

「具体的な特徴とかは? 今後は気配以外でも見分けられるようにしたほうが都合いいわ」

ところが仁は、

「特徴なんざ覚えなくとも、実際に相対してみろ。どんなに隠蔽されても、目で見れば存在感で瞬時に理解できるぞ。つっても、隠蔽されていた場合、本当に目で見なけりゃわからんがな」

かんらかんらと笑い、真面目に取り合わなかった。
< 116 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop