† of Ogre~鬼の心理
「先天的な能力か……厄介ね」

呟くと、仁は苦笑した。

「はじめから超常の力を有している種族がなにを言うかと思いはするが――まったくもってその通り。

忌々しいもんだ、先天的ってのは。後天的なものと違い、代償もないんだからな。乱発されたらごり押しで負ける」

「あらあら、天下の〝千約〟が、ずいぶん弱気ね?」

「ふ。残念ながら、経験から事実を導き出して言ったまでだ。それと、その名前は禁句だぞ、真輝。壁に耳あり障子に目ありだからな」

仁は、戦闘を回避するのがルールの中で、回避しきれなかった戦闘、触れ合った力から、なにかを痛感している顔だった。

「それで、そいつの目的は探れた?」

「いや、これが全然。まったく一方的に仕掛けられてな。なにかを話している余裕もなかった。下手をしていたら今ごろ、俺の胸は抉られてただろうよ。

魔術師の生き肝ってのは呪術じゃ重宝するらしいしな。召喚やら、力や術、薬の要に」

「あら? アナタは魔術師じゃなくて魔法使いじゃなかったかしら?」
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