† of Ogre~鬼の心理
その時は、わからん、と切り捨ててやった。

果たして仁の説明が下手なのか、私の理解力の問題かは、別だ。

つまり結論だが、魔法と魔術は似て非なるものらしい。

それ以上は、私の理解に及ばない。

彼女の言っていることを理解するためには、私も術式方面の知識を習得しなければならないのだろうが……そんなことをしている余裕はないのが現実だ。

なぜなら、私は数学が苦手な文系クラスだから。

魔術はだれでも使えるとはいえ、知識がないと実用することはできない。

魔法は代償を払えば使えても、多用するには不向きで、第一に契約が要る。

そんなことから、後天的に今のあらゆる力を手に入れた草薙仁は、生まれながらにしてその『道』の存在や種族、力を有する者を、どうしても好きになれないらしい。

彼女の観念や経験からすると、卑怯らしいからだ。

残念ながら私もアルもその『道』の存在なのだが、敵対関係にないのなら、構わないらしい。

たかだか十と六年、八ヶ月しか生きていない私だが……仁はなんとも難儀な人間だと思わざるを得なかった。
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