† of Ogre~鬼の心理
ふと、空気が煙たいのに気付いた。

見れば、仁がタバコを吸っている。

肩を持ち上げて息を吸い、タバコの先が煌々と赤くなったかと思えば、

「――っご、ほ、げほっ、おほっ、げふぉっ」

仁はむせた。

やれやれと思う。

「時々とはいえ、継続処理も面倒なものね。慣れる兆しもないようだし」

「いやいや、まったくだ。自分でも、なぜ魔法使いになったかと考える時もあるな。が、コイツばっかりはやめるわけにいかん。もう数百年来の付き合いだからな。

俺の大事な定義だし、魔法の快楽も教えてくれたし、もう俺の半身だ。いまさら手放せん」

仁はめんどくさがり屋で、これは周知の事実であると同時に、彼女も自認している。

それなのに魔術だの魔法だのと、公式やら代償やら、手間暇のかかる能力を身につけている。

もっとも、それを本人は後悔していないようだが。
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