† of Ogre~鬼の心理
「矛盾ね」

どえらく言葉を省略したこれに、

「まったくもって」

と、仁は苦笑していた。

くわえられたままのタバコがまた鮮紅を強くし、煙が昇る。

仁は必死に、むせるのを我慢しているようだった。

もっとも、天井に近い壁にぶら下げられたアルの観葉植物も、細々と上がる煙を我慢しているように見えたが。

話をもとに戻す。

「結論的に、その女、やり過ごせると思う? もしもよほどのことそうなら、やっぱり準備は必要でしょう?」

そういえば、今まで何度か『こんなこと』を話し合ったな、と思った。

今はアルがいないが、それでも、何度か。

たしか初めて話し合ったのは、私がアルと仁に出逢った時で、あの時はなにもかもが初めてだった。なぜなら、私と二人が初対面だったなら、仁とアルも初対面だったから。

二度目はそう、人狼がやってきた時のことだったか。あの時はアルが軽度の暴走、恐慌状態に陥って大変だった。あまりに美麗可憐な月も、考えものだ。

そして……
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