† of Ogre~鬼の心理
今回で何度目かはわからないが、相手は、得体の知れない女。

仁は東洋呪術を使う者と見ているが、それはまだ断定すべきではないと思う。

たとえば、いったいどこのだれが、優男でしかないうちのメガネ男が、人間の生き血を啜る趣向を持っていると想像できるだろうか。それと同じだ。

なんでも、実際に証明されなければ断定はできない。私の心が認識を許さない。

仁の目利きを信用しているいないの話ではなく、これは私の、事象へ真っ正面から向かうための、意識の問題だった。

「そうだな、」

と、タバコを吸うのではなく、くわえたまま、仁が天井を仰ぐ。

そこにはもう、しらしらと筋を抱いた、偽物の雲があった。

「厄介であることには代わりはないだろうが、俺達が三人で叩けば、大して怖くはないだろ。間合いの優劣はあるだろうが、なに、アルならちょうどいい。

俺が援護して、お前が掻き乱して、アルがトドメを刺す。難しいこっちゃない。もしもアルやお前好みだったら、まあ、食っちちまえば事後処理も完璧だろ」

「そう、ね」
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