† of Ogre~鬼の心理
仁は、ひどく矛盾を孕んだ女だ。

めんどくさがり屋のくせに、めんどくさい行程を積み重ねる。喋ることも多い。

知識を詰めることは、めんどくさがらない。

しかし、そのすべては集約されて、彼女の言う『めんどくさいこと』に帰結すると言うのに、されでもやめない。

しかしそんなことを言えば、私も同じだ。

生まれ持った性だから、しようがないと言えばしようがない。

残酷なまでに愉快さを伴って浮上してくる感情は、私の本能。

時間と共に濃くなる一族の血から生まれる根本的欲望であり、心理そのものだ。

そのしがらみを可能な限り抑圧し、平和を貴び、それでも――

ヤメルコトハデキナイ。

私は、自分の切望と衝動が決して和解しないことを知っていながら、その矛盾を当然と受け入れて生きているのだ。

だから、仁の矛盾も、わからないでもない。

この世にはどうしたって逃げることのできない、

存在心理上で絶対について回る、

クサリ
矛盾が、あるのだから。
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