† of Ogre~鬼の心理
それは、時間経過の中で生きている僕達――今ここに存在しているモノには不可能な現象。

時間を逆行させたり、もとに戻したり、修復したりすることくらい、魔法使いなら代償を払えばできる。

が、すべてをまったく、巻き戻すのとは違う方法で『同じ状態』にするのは、無理だ。

そんな得体の知れないモノが、この街にいる。

、、、、、
仁か戦った。

「内村!!」

「はっ、はい?」

とっさに、叫んでいた。

「僕、ちょっと今日は帰るよ!」

「えっ、いやでも捜査が――」

「そんなもの明日でもできる! 重さんによろしく、じゃあね!」

彼に背を向け、角を曲がった――直後に、体を霧化させて空へと舞い上がる。

「ちょっとアルさ、ん?」

僕の姿が忽然となくなったことに驚いた彼を置いて、僕は飛ぶ。

霧から蝙蝠へ変化して、一直線に。
< 133 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop