† of Ogre~鬼の心理
得体の知れない、回復でも逆行でもなく、元通りになるようなヤツと戦って、仁が無傷? まさか。

そんな不安が、僕の心を締め付ける。僕の理想を、軋ませる。

東城真輝は己の能力でなにかを食い散らかしてしまわないように、僕らといる。

その代わりに、彼女には僕らにも敵わない相手を倒してもらう約束。

草薙仁は詰め込みすぎた貯蔵庫を他者に気付かれないように、僕らといる。

その代わりに、自分の存在を隠蔽するのと同時に、僕らのことも隠蔽する約束。

そして僕は、僕の天敵と関わらなくてもすむように、色褪せた日々をまた楽しめるように、彼女らといる。

その代わりに、僕は現代の生活基盤を安定したものとして、彼女らに約束する。

それなのに、仁が、その生活基盤から脱落してしまったら……?

(約束は守らないといけない。約束くらいは、守らないといけない!)



仁の言うギブアンドテイクの理念は、あまり僕にはない。

真輝ちゃんの言う、恩や義理立てという気持ちも、薄い。

だけど、約束くらい、守らなくてどうする?
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