† of Ogre~鬼の心理
開けたのは、真輝ちゃんだった。

「ま、真輝ちゃん……今のは?」

悲鳴について訊ねたつもりなのに、

「ああ。ただの食事よ」

彼女の返答は、的はずれなものだった。

口元を男勝りな仕草でグイと拭った真輝ちゃんは、どことなく満足げな顔で、ふらりと僕の横を抜けていく。

部屋の中へ目を向けると、青いドアに寄りかかる形で、仁が脱力していた。

仁の部屋の中には、いくつもドアがある。そのドアからまた、彼女の作り出した部屋――いわゆる、異空間に繋がっている。

つまり、この部屋は小分けにされた別の空間へ行くための、エントランスのようなものらしい。

僕の部屋の装飾は仁にとって実に陰気だろうが……僕は僕で、この部屋の構造もてんでおもしろいとは思えなかった。

「大丈夫かい、仁?」

しゃがみ込んで肩を揺すると、うつむいていた彼女は、すっと顔をあげた。

その顔は、冷や汗混じりに笑っている。
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