† of Ogre~鬼の心理
私の一族は、生涯その能力を向上させていく。

そして慣わし同様、私も生まれた時から少しずつ、成長に合わせて力が増えたり、強くなったりした。

何度か能力が大きく開花し始める段階も、経験した。

その『開花』のことを、アルは問うているのだ。

けれど、

「それも、ない」

私は断言した。

「特別、開花の時のような兆候は感じないわ。真鬼が語りかけてくる様子もないし、なにか新しいものへ対処しなくちゃいけないことも、ないでしょう? 私が現段階からどんな形であれ、移行する必要性もないし」

「君の認識の範囲では、ね」

と、アルは組んでいた手を左右に開き、ひょいと肩をすくめた。

私より彼が長生きなのはわかる。

わかるが、少しお節介を焼き過ぎるのが、アルの欠点だ。
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