† of Ogre~鬼の心理
「ヒトの形をしていながらヒトあらざる者の先輩として、明確な忠告をしてあげるよ、真輝ちゃん。

己の本質や衝動には、ただの抑圧では勝てない。生きていく中で必ず、より高度な統御が要求されてくる。それが、どんなに平凡な時でもね」

まるで自分にも当てはめるように言って、アルは立ち上がった。

とりあえず、話はこれで終わりらしい。

いや……私が生涯成長を続ける限り、この話にピリオドを打てるわけもないだろうが――今ここで、これ以上の話をしても無駄、もとい――必要性がないと判断されたのだろう。

私には真輝と同じ読みの、真鬼という真名がある。

いや、それは本当に私の名前だろうか――?

いや、私の名前だ。

一族で受け継ぐ、『鬼』の文字が入った真名。

『真性の鬼』という意味を持つ真鬼は、私の『力』――本質そのものだ。

普段、私の中で眠っている……いや、深層意識に封じ込められている真鬼は、私でありながら私ではなく、私でないながら、まさに私なのだ。

衝動という名の、本能。私の本質。東城真輝という私を大本で司る、まさに『魂』。

その名前が、真鬼。
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