† of Ogre~鬼の心理
たとえば私の最初に覚えた快楽である『人食い』も、本来は真鬼からの衝動だ。

真鬼がひとつ目覚めれば、真輝もひとつ、目覚める。

真鬼がふたつ目覚めれば、真輝も同様。

真輝と真鬼。
真鬼と真輝。

彼女は弾丸であり、私は銃にして、引き金のようなもの。

彼女は抜き身の刃であり、私は柄、そして鞘のようなもの。

言葉にすれば、なんてややこしいことだろうか……

それはただの、私の『力』でしかないのに。

同一の存在でしかないのに、違うものなのだ。

「気をつける」

ようやく返事をすると、満足いったらしいアルは、よし、とひとつうなずいた。

それから、くるりと仁へ向き直る。

「さて、と。ご飯にしようか……って言いたいところだけど、仁、食料はないんだろ?」

「――ああ」

なにもかも見越したアルの言葉と、やけにあっさりした仁の言葉が、私にはわからない。
< 142 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop