† of Ogre~鬼の心理
「どういうこと?」

仁は今日、買い出しに行ったはずだ。

だから中心街にいたんだろうし、ヤツと遭遇してしまったんだ。

仁はまさか、厄介者へ自ら泥を投げるような性格でもないのだから。

ぽわあ、と空中に煙の大輪を浮かばせてから、仁が答えた。

顔は一ミリもこちらへ向かない。

「わり。代償にしちまった」

「……」

言葉の意味は、すぐにわかった。

つまり、私が見たあの爆発は、買い出しの食材によって引き起こされた、と。

ふざけるな、と言いたいところだが……不可抗力といえば不可抗力である。

が、だからといって食事がないというのは――

「役立たず」

妥協して妥協して選び出した言葉が、これだった。

ぼほっ、と仁が吹き出し、やっとこちらへ向いた。
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