† of Ogre~鬼の心理
「あのなアル、物体や存在というのは破損したり損失したりしたら、そのまま劣化していくか、はたまた能力に応じて大体は再生していくものだ。

お前が、ヤツの気配が元通りになるのを感じたなら、それは回復か再生、あるいは特殊じゃあるが逆行現象以外にはありえない」

二、三席離れたところには、ただの人間もいる。

そんな中で話されているのが、到底彼らの理解に及ぶような『常識』でないなど、どこのだれが想像するか。

いや、仮に仁の言葉を理解していたとしても、ゲームかなにかの込み入った話と勘違いされるに違いない。

だから、私達は別に、声をひそめたりもしない。

 、、、、、
「ありえないなんて言葉は、とりあえず五世紀ぐらい前に僕は捨ててるんだよ、仁」

と、語調を強めるアル。

「たしかに僕は、ヤツの振幅が元通りになるのを感じたんだ。なんて言えばいいかな……まったく同じ存在が完璧な状態で上書きされた――というのに近い」

「上書き、ねぇ」
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