† of Ogre~鬼の心理
「そうね。でしゃばるまでもない」

うなずいて、訊ね返す。

「それで、仁は?」

「俺か? 俺は明日、日がな一日バイトだから戦闘には参加できねぇよ」

「なっ」

ひょうきんとは違う、ひどくかったるそうな声に、思わず眉が跳ねてしまった。

「まあ、まあ、そう肩を怒らせますなって」

仁が箸で、ずん、と行儀悪くサツマイモの天ぷらを突き刺した。

がぶがぶと無作法に噛みつく彼女は、頬を膨らませながら言う。

「戦うのは中心街がいいだろうな。あそこがまさに打ってつけだ」

打ってつけ? まさか。

「寝ぼけたのね、仁。あそこは夜でさえ人がいるのよ? だから私だってあそこを多用するんだもの。知らないってわけじゃないでしょう」

「いやでも、仁の意見に僕は賛成だな」

横から、アルがニコニコと。スパゲッティをクルクルと。

彼は血を吸引する趣向を持つが、普通の食べ物からも栄養を摂取できる。

私達の一族が成長するのとは違えど、彼らも自然進化しているのだと実感するが……

それなら吸血の意味はなんなのだろうとも思う。

もっともそれは彼に言わせれば、必要性云々以前の、存在意義になるそうだが。
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